ロロピアーナの説明会に行ってきました。
先日、イタリアを代表する最高峰の服地メーカー、ロロピアーナ(Loro Piana)の商品説明会へ行ってきました。
会場に並ぶ最新の服地は、相変わらず美しい艶と深みのある色合いのものばかり。時代の空気感をスマートに取り入れながらも、決してブレない絶対的な品格が漂っていました。




なぜ、ロロピアーナは毎シーズンこれほどまでに圧倒的なクオリティを維持できるのか。 今回の説明会では、その核心である「一貫紡(いっかんぼう)」のプロセスについて改めて深い説明がありました。
今回はそのプロセスの裏側を、レポートとしてお届けします。
原毛から服地まで、すべてを自社で。

ロロピアーナを語る上で外せないのが、世界でも数少ない「一貫紡」の体制です。 これは、最高級の原毛を調達するところから、最後の服地として織り上げるまでの全工程を、自社で一元管理する仕組みを指します。
一般的な生地メーカーは、紡績業者から糸を買い、それを自社で織ることが多いのですが、ロロピアーナは違います。その工程は、徹底したこだわりから始まります。
1. 原毛の調達(「ロロピアーナ・メソッド」という情熱)
クオリティの出発点です。世界中から希少な原毛を調達します。
ロロピアーナは、最高級ウールやカシミアを調達する際、ただ市場から買い付けるだけでなく、生産者たちと深いパートナーシップを結んでいます。
その象徴が「ロロピアーナ・メソッド」です。 これは、独自の厳格な基準を設け、生産者たちと知識や技術を共有しながら、より細く、より美しい、最高品質の原毛をサステナブルに育てるための仕組みです。
さらにこの取り組みは、カシミアの原産地である内モンゴルなどの現地遊牧民の生活基盤を整える支援にまで及びます。過放牧による砂漠化を防ぐための適切な放牧スキームの構築や、遊牧民の持続可能な暮らしを支えるインフラ支援など、彼らの生活そのものを守る活動を続けています。 現地の人々を尊重し、ともに豊かになりながら「究極の原毛」を追い求める。この執念とも言えるスタート地点があるからこそ、他社には真似できない土台が作られます。
2. 原毛の洗浄
原毛の汚れや不純物をきれいに洗い落とす工程です。繊細な原毛を傷つけないよう、細心の注意を払って徹底的に洗浄され、洗浄後は保管のためイタリアへ輸送され、糸に加工されます。
3. 紡績(糸を紡ぐ)
洗浄された原毛を均一に引き伸ばし、絶妙な撚(よ)りをかけながら極細の糸へと紡ぎます。原毛のポテンシャルを最大限に引き出した、滑らかで強靭な糸がここで生まれます。
4. 整経(せいけい)
織る前の土台を築く経糸整経の工程です。整経用にワインディングされた糸をデザインに基づき本数や色の配列を引き揃えます。
5. 織り
最新鋭の織機を用い、経糸と緯糸(よこいと)を交差させて服地へと織り上げていきます。熟練の技術により、ロロピアーナ独特の美しいドレープ(落ち感)のベースが作られます。
6. 染色
織り上がった服地を独自の技術で染め上げます。染色は生地によって原毛や糸の段階でも行います。
7. 整理工程(フィニッシング)
防縮や撥水、独特の滑らかな手触りを生む起毛など、生地に最終的な機能性と美しい表情を与える重要な工程です。ここでロロピアーナならではの「極上の肌触り」へと完成に近づきます。
8. 修整
最後の難関となる検品・修整です。織りキズや色ムラが1ミリもないか、熟練の職人が目と手で厳格にチェックし、わずかな乱れも見逃さずに修整します。この最終工程を経て、ようやく私たちの手元に届く「ロロピアーナの服地」が完成します。
一貫紡だからこそ、宿る美しさ
途中で他社の手を挟まないからこそ、ブレのない「ロロピアーナ品質」が1mの生地の隅々にまで行き渡ります。
今回の説明会では、新しくなる26AWの「BLAZERS」や「JERSEY」の紹介もありました。

まさにこの気の遠くなるような8つの工程と、職人たち、そして大自然と生きる生産者たちの誇りがしっかりと宿っています。
リラックスして着られるのに、仕立てたときに圧倒的にエレガントな佇まいになり、美しい立体感が生まれる。それは、この妥協のない一貫したモノづくりがあるからに他なりません。
26AW生地の店頭への入荷は、少し先の秋頃(8月下旬〜9月予定)となります。
まだ少し時間はありますが、プロの目から見ても、今から入荷が待ち遠しくてたまらない素晴らしいラインナップです。実際に生地が届きましたら、また改めてブログやSNSでご報告させていただきますね。
おまけ:説明会での嬉しいお土産

最後になりますが、今回の説明会でロロピアーナから素敵なお土産をいただきました。なんと、ブランドオリジナルのポケットチーフです。
驚いたのがその素材。なんとこれからの季節にぴったりな「シアサッカー」の生地で作られているのです。
シアサッカーならではのあの凹凸感(しぼ)が、ロロピアーナの手にかかると驚くほど細やかで上品。カジュアルな素材感ながらも、圧倒的な上質さがあり、彼らの織りの技術の高さと遊び心に思わず唸ってしまいました。
胸元にスッと挿すだけで、夏の装いをグッと格上げしてくれそうな、素晴らしいクオリティです。
こういう細やかなアイテム一つにも、ロロピアーナの美学が貫かれているのを感じて嬉しくなりました。